ー投資案件の何を見誤っていたのかー
この記事を書くかどうか、正直かなり迷いました。
約2,700万円。
これが、2016年から2018年にかけて、投資案件で失った金額です。
実は、その前の2016年には、FXで大きな損失を出し、早期退職金を失っています。
つまり、この2,700万円はFXの損失とは別物で、死に物狂いで働いて貯めてきたなけなしのお金の話です。
でも、今ではこの失敗を書かなければ、私の投資人生は語れないと思っています。
第4話の続きを書こうと思います
第4話では、SENERという投資案件について書きました。
台湾まで説明会に参加し、「これから世界が変わる」と本気で信じていた頃の話です。
今回は、その続きを書こうと思います。
私は2016年から2018年にかけて、SENER、D9、Lendroid、With Coin、NOAH Coin、暗号資産レンディング、フィリピン株投資、カンボジア不動産、インドネシア投資信託、ネット通販プラットフォーム、など、さまざまな投資案件に参加しました。
よく、「一番大きな失敗は何ですか?」
と聞かれます。
でも、私には一つに絞れません。
当時参加した主な案件を振り返ると、こんな状況でした。
| 案件 | 投資額(概算) | 最終的な結末 |
|---|
| SENER | 約600万円 | 事業終了 |
| D9 | 約600万円 | 事業終了 |
| Lendroid | 240万円 | 「プロジェクト終了」の告知のみ |
| With Coin | – | 上場せず、発信者も消息不明 |
| フィリピン株投資 | 約500万円 | 5年以上返金されず |
| カンボジア不動産 | – | 担当者変更後、連絡不能 |
| インドネシア投資信託 | – | 現地で口座解約し、残金回収 |
※金額はいずれも概算です。現在も回収手続きが継続している案件を含みます。
その他にも、小さな案件はいくつもありました。
気が付けば、損失の合計約2,700万円。
一撃ではなく、 少しずつ何度も負け続けていました。結果として、約2,700万円を失いました。
この数字だけを見ると、「怪しい案件に騙された人」という印象を持たれるかもしれません。
でも、実際はもう少し複雑でした。
私が出会った「投資の師匠」
私には、一人の「投資の師匠」がいました。
実名は出せませんが、私の投資人生に大きな影響を与えてくれた方です。
その師匠は、決して口先だけの人ではありませんでした。
実際、私が師事している期間中、その師匠が投資したICOは、何百倍、何千倍にも成長したものがいくつもあります。
そして、それらは今でも仮想通貨取引所で売買されている銘柄です。
もちろん投資する金額も私なんかの何十倍、何百倍です。
成長利益もとてつもない金額です。
一度総資産について師匠に尋ねたことがあったのですが、
「1,000億円は超えているよ。」
そう静かに話していたのを覚えています。
今振り返ると、私と師匠の一番大きな違いは、経験の厚みだったと思います。
師匠は、投資案件があれば世界中へ足を運び、自分の目で確かめる方でした。
私も何度か海外をご一緒させていただきました。
投資案件の視察だけではありません。
投資仲間と共に旅行へ行き、食事をしながら投資について話を聞く機会もありました。
何を買えば儲かるかではなく、
「投資とはどう向き合うべきか。」
そんな話を聞いていました。
印象的だったのは、成功談だけではなく、失敗も包み隠さず話してくれたことです。
案件が思うようにいかなかった時も、現実を受け止め、冷静に状況を説明する姿勢は、今でも私の記憶に残っています。
だから私は、その人の話を信じました。
「この人が言うなら間違いない。」
そう思ったのです。
ここまで読むと、
「それは騙されていたのでは?」
「その人は詐欺師だったのでは?」
そう思われる方もいるかもしれません。
私も何度か考えたことはあります。
それでも今でも、私は師匠が私を騙そうとしていたとは思ったことはありません。
実際に成功していた人だからです。
今思えば、私は、師匠が紹介してくれる案件だけを見ていました。つまり、私は師匠の”答え”ばかり見ていました。
でも、本当に学ぶべきだったのは、師匠が何に投資したかではなく、師匠が答えを出すまでの考え方だったのです。
「挑戦を続けろ」という言葉
私の投資の師匠は、よくこんな話をしていました。
「多くの案件の中の一つが外れただけ。」
「早く裕福層の仲間入りをしたいなら、リスクを取り続けること。」
「ここでやめてしまう人は、上のステージにはいけない。」
「投資を知り尽くした私でも騙されることもある。それだけハイリスクハイリターンの案件ということ。」
当時の私は、この言葉を
「新しい投資案件へ挑戦し続けろ」
という意味だと受け取っていました。
でも今振り返ると、師匠が伝えたかったのは、一つ失敗したからといって投資そのものを諦めるな、ということだったのかもしれません。
大きな成功を収める人は、挑戦をやめません。
リスクを避けてばかりでは、大きな成果を得られないことも事実です。
しかし、当時の私は投資初心者でした。
私は「挑戦を続ける」という言葉を、
「新しい投資案件へ次々と参加し続けること」
だと受け取ってしまったのです。
今思えば、それは大きな勘違いでした。
私の師匠は、何百という案件を見てきた経験の中から投資先を選んでいました。
一方の私は、師匠が紹介する案件しか知りませんでした。
同じ案件に投資していても、見えている世界はまったく違っていたのです。
※私が現在AI投資で重視している考え方は、こちらの記事でも書いています。
👉 第17話「AI半導体の次のボトルネックはどこか|マイクロン決算で市場が買ったもの」
2017年、ICOという熱狂
2017年。当時は仮想通貨バブルの真っただ中でした。
ICOという資金調達方法が次々に登場し、「次の100倍銘柄」が毎日のように話題になっていました。
もちろん、すべてが詐欺だったと言うつもりはありません。
実際に成功したプロジェクトもあります。
一方で、危険な案件も数え切れないほど存在しました。
しかも、多くはビットコインやイーサリアムで支払います。
送金したら終わり。
銀行振込のように止めることもできず、クレジットカードのような補償もありません。
革新的な仕組みは、残念ながら悪意のある人たちにも利用されました。
※ 当時の熱狂については、第18話で詳しく書いています。
👉 第18話「仮想通貨バブルで私は「夢」を買っていた|2017年の投資体験」
案件は、それぞれ違う終わり方をしました
Lendroidには240万円を投資しました。
数年後、ホームページを見ると、そこには一文だけ。
「Lendroidプロジェクトは終了しました。」
理由もありません。
返金もありません。
謝罪もありません。
240万円は、その一文で終わりました。
With Coinでは、「必ず上がる」とネット上で顔出しをして話していた人がプレセール後に消息を絶ちました。もちろんどこの取引所にも上場されませんでした。
その他にも多くの仮想通貨が、草コイン、詐欺コインと呼ばれ、大々的に喧伝し、プレセールで莫大な金額を集める。でも結局どこの取引所にも上場されない、価格がつかない、ということは日常茶飯事でした。
フィリピン株投資では、「担当者が変わります」という連絡のあと、新しい担当者から「フィリピンの制度上、日本送金の処理手続きが複雑で時間がかかる」と言われ、5年以上経ちましたが未だに送金されません。
カンボジア不動産も同じで、担当者が変わり、連絡がなくなりました。
インドネシア投資信託も同じでした。
インドネシア投資信託については、現地の銀行口座に残高がありました。
最終的に「もう誰も頼れない。」
そう思い、自分で航空券を取りました。
ジャカルタの銀行へ行き、
英語で事情を説明し、
何時間も交渉しました。
最終的には口座を解約でき、
残金だけは回収できました。
途中で担当者や運営が変わり、その後、連絡がなくなる。
当時は、それぞれ別の出来事だと思っていました。
でも今振り返ると、共通する構造がありました。
そして、SENERやD9にはもう一つ特徴がありました。
紹介した人が増えるほど紹介料が入る仕組みだったことです。
私は幸い、知人を積極的に勧誘することはありませんでした。
そのため、人に迷惑をかけずに済みました。
これは本当に救いだったと思っています。
私が見直したのは「市場」でした
2,700万円を失っても、私は投資をやめようとは思いませんでした。
ただ、「投資」という言葉を一括りにして考えることはやめました。
仮想通貨。
株式。
投資信託。
信用取引。
金。
不動産。
それぞれの市場には、それぞれ異なる価値とリスクがあります。
例えば、今でも私はビットコインとイーサリアムは保有しています。
一方で、他の仮想通貨のプレセールやICOへの投資はもうしません。
株式市場には決算があります。
開示資料があります。
利益があります。
もちろん損をすることもあります。
それでも、自分で分析する材料があります。
市場の性質を理解し、その市場に合った投資をする。
その考え方は、この2,700万円の失敗から学びました。
おわりに
今でも、師匠の「挑戦を続けろ」という言葉は正しいと思っています。
ただ、その言葉の意味は、人によって違います。
経験豊富な投資家が言う「リスクを取る」と、初心者が考える「リスクを取る」は同じではありません。
私は、その違いを十分に理解しないまま前へ進み続けました。
だから私は、同じ失敗を何度も繰り返しました。
でも、その失敗があったからこそ、今は「誰が勧めているか」ではなく、「どんな仕組みなのか」を最初に考えるようになりました。
2,700万円という授業料は、決して安くはありませんでした。
でも、あの経験がなければ、今の私はありません。
だから私は、師匠を否定するのではなく、自分の受け止め方を見直しました。
あの日から私は、「人」を追いかける投資ではなく、「仕組み」を理解する投資家になろうと決めました。
次回予告
「私は二度と『利益』では投資しない」
「前に儲かったから、今回も大丈夫。」
そんな考え方が、私の判断を何度も狂わせました。
次回は、「利益に引っ張られる投資」とどう決別したのかを書きたいと思います。

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