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なぜ人は「成功の空気」に惹かれるのか

FXで大損したあと、私はしばらく、

「どうやって人生を立て直そうか」

ということばかり考えていました。そんな中で出会ったのが、様々なセミナーでした。

仮想通貨。

海外投資。

自動売買。

物販・転売ビジネス。

「これから来る」と言われるものに、次々と触れていきました。

もちろん当時の私は、本気でした。勉強しているつもりでした。

本を読む。動画を見る。セミナーへ行く。人の話を聞く。

ですが今振り返ると、私は「投資」を学んでいたというより、

「成功した未来」に強く惹かれていたのかもしれません。

目次

当時、強く惹かれたもの

その中の一つが、SENERという海外投資案件でした。今振り返ると、かなり典型的な内容です。

例えば、

  • 月20%リターン
  • 資金保護
  • VIPサービス
  • 高級ホテル
  • 海外イベント

など、「成功者の世界観」が強く演出されていました。

※当時の投資説明資料から(一部加工)


今冷静に見ると、「そんなうまい話あるわけない」と思います。

ですが当時の私には、本当に魅力的に見えたんでしょうね。

人は「投資」より「未来」に惹かれる

特に印象に残っているのは、投資参加者向けの海外イベントでした。

一定額以上を投資した参加者には、無料で海外旅行に行けるという企画でした。

当初はアメリカ7泊8日旅行の予定でしたが、直前で台湾2泊3日に変更されました。

今思えば、かなりコストを抑えたのだと思います。

ですが当時の私は、そんなことは気にもしていませんでした。


高級ホテルの大広間。

コースディナーが振る舞われ。

大画面では“世界的金融プロジェクト”が語られ。

そして、ゲストとして登場した有名芸能人。

さらに、SENERの役員たちが、音楽と照明の演出とともに会場へ登場しました。

まるで映画やショーのような空間でした。

会場全体が、「ここは特別な世界だ」という空気に包まれていました。

今振り返ると、あれは投資説明会というより、

「成功した未来を疑似体験させる場」

だったのかもしれません。

空気が崩れた瞬間

じつは、その旅行中、ある出来事がありました。

2日目のディナー直前、一緒に参加していた友人からLINEが届いたのです。

「これ、劇場型の詐欺らしい」

「説明している人物、有名な詐欺師らしい」

最初は、何を言っているのか理解できませんでした。

ですが説明を読むうちに、頭が真っ白になっていきました。

その時すでに、私は50,000ドルを投資していました。別居を始めて1回目の無一文となって以降、海外転勤なども経験しながら、必死に働いて積み上げてきたお金でした。

私はその数年前に長年勤めた会社を退職し、その翌年にはFXで退職金を失い人生2回目の無一文を経験しました。

それでも、

「人生を立て直したい」

「失った時間を取り戻したい」

という気持ちが、どこかで強くなりすぎていたのかもしれません。

ですが、その場で騒ぐこともできませんでした。

会場では豪華なディナーが始まり、

大画面では成功のストーリーが語られ、

有名芸能人が歌を披露していました。

周囲は笑顔でした。

ですが私は、

「自分は何をやっているんだろう」

という気持ちでいっぱいでした。

あの時の、「外は華やかなのに、自分の中だけが崩れていく感覚」

は、今でも忘れられません。

高利回りより危険だったもの

今思うと、本当に危険だったのは、高利回りそのものではなく、

「自分は分かっている」と思い始めていたことでした。

周囲も盛り上がっている。

成功している人もいるように見える。

セミナー会場の熱気。

「ここに乗れば人生が変わるかもしれない」

そんな空気に、少しずつ飲まれていたのだと思います。


投資で怖いのは、

「知らないこと」

そのものではなく、

「分かった気になってしまうこと」

なのかもしれません。

今でも、自分に問いかけている

正直、今でもあります。

AIや半導体、新しい技術など、市場が盛り上がる時ほど、

「自分は理解できている」と思いたくなる。

ですが最近は、以前より少しだけ、「本当に理解できているだろうか」

と立ち止まって考えるようになりました。


未来を正確に当てることは、今でもできません。

ですが少なくとも今は、

  • なぜ利益が出るのか
  • どこにリスクがあるのか
  • なぜその仕組みが成立するのか

を、自分なりに考えるようになりました。


そして今でも、市場が盛り上がるたびに、自分自身へ問いかけています。

「それは、本当に理解できているのか」

と。

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