株式投資で最も難しいことは、
「買うこと」ではありません。
「売ること」も確かに難しい。でも、本当に難しいのは、「持ち続けること」だと私は思います。
特に半導体株は、激しく上下します。数ヶ月で2倍になることもあれば、半年で半値になることもある。
ニュースを見れば、
- 「半導体不況」
- 「在庫調整」
- 「供給過多」
- 「暴落」
そんな言葉が何度も並びます。
普通なら、途中で怖くなります。実際、私も何度も不安になりました。
私は「半導体の構造」を少しだけ理解していた
私は昔、半導体関係の仕事をしていました。
と言っても、半導体業界の全てを理解しているわけではありません。
ですが少なくとも、
- 半導体は景気循環が激しいこと
- 需要と供給で価格が大きく動くこと
- 技術投資に莫大なお金が必要なこと
- 一度脱落した企業は戻れないこと
こうした「構造」は理解していました。
特にメモリー業界は典型的です。
好況になると、各社が大量投資を始める。
すると供給過多になり、価格が暴落する。
その結果、赤字企業が出る。
投資が止まる。
すると今度は供給不足になる。
そしてまた価格が上がる。
このサイクルを、半導体業界は何十年も繰り返してきました。
だから私は、
「短期では暴落することがある」ことを前提として投資していました。
マイクロンは「消える側」ではないと思った
半導体業界では、技術投資についていけなくなった企業は消えます。
特にメモリー業界は、設備投資が莫大です。
工場建設だけで数兆円規模。つまり、体力がない企業は生き残れない。
ですが私は、
マイクロンは最後まで残る側だ
と思っていました。
なぜなら、
- 技術力が高い
- DRAMとNANDの両方を持っている
- 米国政府にとって戦略的重要性が高い
- 韓国のメモリーメーカーに比べ、地政学的リスクが低い
- データ社会になるほどメモリー需要は増える
と考えていたからです。
もちろん途中で何度も暴落しました。
「もう終わった」
と言われたことも何度もあります。
ですが私は、
「業界サイクルが悪いだけでは?」
と考えていました。
私は“ガチホ”していたわけではない
ここも誤解されやすい部分です。
私は、マイクロンを何も考えず6年間放置していたわけではありません。
むしろ逆でした。
特に2026年春頃は、毎日のように、
「今は何合目なのか」
を考えていました。
半導体株は、最後の局面になるほど上昇が加速します。ですが同時に崩れる時も本当に速い。
だから私は、
- PER
- 過去サイクル
- SOX指数
- AI関連ニュース
- 市場の熱狂度
- HBM需給
- データセンター投資
などを毎日見ながら、
「そろそろ酸欠がはじまっていないか」
「まだ上があるのか」
「崩落が始まるのはいつか」
そして「今どこにいるのか」
を考えていました。
私は“8.5合目”を狙っていた
私は、「頂上で完璧に売ろう」とは思っていませんでした。
むしろ、それは不可能だと思っています。だから私が意識していたのは、
「8.5合目で降り始める」
ことでした。
熱狂の頂点では、
「まだ上がる」
「今回は違う」
「AIは永遠に成長する」
そんな空気になります。
ですが私は、過去の半導体サイクルを何度も見てきました。だからこそ、
「頂上を完全に当てようとしない」
ことを意識していました。
その結果、私は600ドル付近で、保有株の約25%を段階的に売却しました。
これは弱気になったからではありません。むしろ逆です。
熱狂が強くなっていたからこそ、少し降り始めたのです。
私は途中から、「過去の地図が使えなくなっている」と感じ始めた
実は2026年春、3月頃まで、私はかなり過去のマイクロンサイクルを参考にしていました。
特に2022年前後の傾向です。
- 当時のPER、
- 株価、
- 需給、
- 熱狂感。
そこから考えると、今回は「600〜700ドル付近でピークをつけるのでは」
と思っていました。
ですが、私は完全には降りませんでした。なぜなら途中から、私は強い違和感を持ち始めたからです。
明らかに、これまでのメモリーサイクルと値動きが違っていたのです。
例えば、
イラン情勢などで市場全体が不安定になり、他の半導体株が下がる局面でも、
マイクロンだけは異様に強い。
普通の景気敏感半導体株なら、
地政学リスク、
原油高、
金利上昇、
景気減速懸念。
こうした要因で売られやすい。
ですがその時のマイクロンは、むしろAIインフラ需要の方が強く意識されているように見えました。
さらに、上昇スピードそのものも明らかに異常でした。
普通の半導体サイクル後半なら、
「そろそろ過熱」として失速してもおかしくない。
ですが今回は、むしろ加速していく。
そこで私は、
「これは単なるメモリーサイクルではないのでは」
と思い始めました。
マイクロンは、“AI景気敏感株”ではなくなり始めていた
AIが進化するほど、GPU性能が注目されます。
ですが、GPUだけではAIは動きません。
大量のデータを高速処理するには、HBMのような超高速メモリーが必要になります。
つまりAIが巨大化するほど、メモリーそのものがAIインフラになる。
そして気づけば、市場はマイクロンを、
「景気敏感なメモリー会社」
としてではなく、
「AI社会を支える主要インフラ銘柄」
として見始めているように感じました。
これは、私にとってかなり大きな認識の変化でした。
つまり私は途中から、「そろそろ山頂かもしれない」と思いながらも「実は山そのものが高くなっているのでは」、
「株価だけではなく、評価される“物差し”そのものが変わり始めているのでは」
と思うようになりました。
過去のPERサイクルは、今でももちろん重要です。
ですが今回は、それだけでは説明できない。
私は途中から、
「自分が参考にしていた地図そのものが、古くなり始めている」
ような感覚を持っていました。
“理解しているつもり”でも、構造は変化する
これは投資の難しいところです。私は半導体業界のサイクルを、ある程度理解しているつもりでした。
ですが実際には、市場構造そのものが変化していた。
つまり、
「理解したと思った瞬間から、世界はまた変わる」
のです。
だから私は今でも、
絶対に未来を予測できる
とは思っていません。
ですが、構造変化を考え続けることだけは、やめないようにしています。
結局、“理解”しか握力にならない
投資で最終的に握力になるのは、他人の意見ではありません。
自分の理解です。
SNSで誰かが煽る。
YouTubeで誰かが絶賛する。
掲示板で悲観論が出る。
そういうものは、暴落が来ると簡単に吹き飛びます。
最後に残るのは、
「自分は何を理解しているのか」
だけです。
だから私は今でも、構造が理解できないものには、大きなお金を入れません。
逆に、完全ではなくても、
- なぜ成長するのか
- どこがボトルネックなのか
- なぜ必要とされるのか
が理解できるものには、長期で投資できます。
そして今、私は思う
投資は、未来予測ゲームではないのかもしれません。
むしろ、「構造理解ゲーム」なのだと思います。完璧な未来予測は誰にもできない。
ですが、
- この会社はなぜ必要なのか
- なぜ利益を出せるのか
- なぜ生き残れるのか
を考えることはできる。
私はたまたま、それをマイクロンで6年間続けました。
もちろん、今後も永遠に上がり続けるとは思っていません。
半導体サイクルは、また必ず崩れます。
ですが私はこれからも、
「理解できるものに投資する」
という軸だけは、変えないと思います。
そして今でも私は、
「AI時代に、本当に必要とされるものは何なのか」
を考え続けています。

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