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第28話 失敗から学んだ7つの投資ルール|ここまでの答え合わせ

目次

はじめに

このブログを書き始めてから、これまでの投資を一つずつ振り返ってきました。

FXで約2,800万円を失ったこと。

☞第2話 なぜ私はFXで大損したのか

仮想通貨バブルの中で利益を得る一方、次々と現れる投資話に引き寄せられたこと。

海外事業やICO、不動産などへの投資で、合計約2,700万円を失ったこと。

☞第19話 投資案件で2,700万円を失った理由|私が見誤った「儲かる構造」

そして、何を信じればよいのか分からなくなったところから、もう一度、株式投資を組み立て直したこと。

振り返ってみると、失敗した投資と、その後に資産を増やすことができた投資には、違いがありました。

それは、運が良かったか悪かったかだけではありません。

投資対象を自分で理解し、利益が生まれる構造を確認し、自分の判断としてリスクを取っていたかどうかです。

もちろん、現在の投資方法が完成したとは思っていません。

ビットコインや不動産についても、まだ書いていないことがあります。投資判断を改善するために、これから試してみたいこともあります。

今回は連載全体の結論ではなく、第1話から第27話までの中間整理として、これまでの経験からつくった七つの投資ルールをまとめます。

読者の皆さんが投資を検討するときにも使えるよう、それぞれのルールを具体的な質問に置き換えてみます。


ルール1 理解できないものには投資しない

最初のルールは、このブログの出発点でもあります。

理解できないものには投資しません。

ただし、「すべてを完全に理解してから投資する」という意味ではありません。

未来の業績も株価も、完全には予測できないからです。

私が必要だと思っているのは、判断に耐えられる程度まで理解することです。

  • 何を販売しているのか
  • 顧客は誰なのか
  • どこから利益が生まれるのか
  • 何が成長を支えているのか
  • 何が起きたら仮説が崩れるのか

少なくとも、この五つを自分の言葉で説明できる状態にします。

過去の私は、自分で説明できない投資でも、有名な人から紹介された、詳しそうな人が推奨している、すでに利益を得た人がいるという理由で投資していました。

理解する代わりに、誰かを信じていたのです。

それでも価格が上がっている間は、不安を感じません。

しかし、問題が起きると、自分では何も判断できなくなります。

売るべきなのか。

待つべきなのか。

追加投資すべきなのか。

投資した理由を自分で説明できなければ、下落したときの判断も他人に委ねることになります。

読者が確認すること

この投資が利益を生む仕組みを、専門用語を使わずに説明できますか。

説明できなければ、投資しないというより、まだ投資する段階ではないのだと思います。

ルール2 利益の大きさより、誰が利益を得る構造なのかを見る

過去の私は、「どれだけ儲かる可能性があるか」を先に見ていました。

☞第4話 なぜ人は「成功の空気」に惹かれるのか

☞第20話 成功体験は、時に失敗よりも危険だった

☞第21話 私は「儲かる話」ではなく、「儲かる構造」を見るようになった

月利何%。

将来何倍。

元本を短期間で回収。

その数字が大きいほど、魅力的な投資だと思っていました。

しかし、高い利益が提示されていることと、投資家が実際に利益を得られることは同じではありません。

私が経験した投資案件の中には、参加者が商品やサービスから利益を得るよりも、新しい参加者を集める側や、会費・手数料を受け取る運営側の方が確実に利益を得られるものがありました。

このとき見るべきだったのは、表面上の利益率ではありませんでした。

この仕組みの中で、誰が、どの時点で、どこから利益を得るのでしょうか。

という構造です。

☞第21話 私は「儲かる話」ではなく、「儲かる構造」を見るようになった

投資家の利益が、実際の事業収益から生まれているのか。

それとも、新しく参加する人のお金に依存しているのか。

販売する商品に需要があるのか。

それとも、参加する権利そのものが商品になっているのか。

誰かが損失を負わなければ維持できない構造になっていないか。

こうした点を考えるようになってから、「利益が大きそうだから投資する」という判断はしなくなりました。

読者が確認すること

自分が得る予定の利益は、誰が生み出し、誰が支払うのでしょうか。

この質問に明確に答えられないときは、提示された利回りより、仕組みの持続性を疑った方がよいと思います。

ルール3 成長市場では、次に不足するものを探す

☞第17話 AI半導体の次のボトルネックはどこか|マイクロン決算で市場が買ったもの

株式投資を組み立て直す中で、私が重視するようになったのが「ボトルネック」です。

成長する市場では、すべての企業が同じように利益を得るわけではありません。

需要が急増すると、どこかに不足が生まれます。

半導体では、需要が増えると設備投資が増えます。

その後、供給が増えすぎれば価格が下がり、設備投資が減り、やがて再び供給不足になります。

この循環を理解することで、単に「半導体市場が成長する」というニュースを見るだけでなく、

  • どの製品が不足しているのか
  • 供給をすぐに増やせるのか
  • 価格決定力を持つのは誰か
  • 次に制約となるものは何か

を考えるようになりました。

AI市場でも同じです。

GPUへの需要が増えれば、HBM、先端パッケージ、光通信、電力、冷却、データセンターなど、次の不足が現れます。

私は、人気のある企業を追いかけるより、成長を止めてしまう可能性のある場所を探すようになりました。

マイクロンを長く保有できた理由の一つも、単なるメモリー企業としてではなく、AI計算に必要なHBMを供給する企業として見直したからです。

読者が確認すること

この市場が成長したとき、最初に足りなくなるものは何でしょうか。

成長市場そのものではなく、その成長に不可欠で、簡単には増やせないものを探します。

ルール4 良い企業と、今買うべき株を分ける

優れた企業を見つけることができても、それだけで投資判断は終わりません。

良い企業でも、株価が期待を織り込みすぎていれば、好決算の後に下落することがあります。

反対に、業績に問題があっても、悪材料が十分に織り込まれていれば、株価が上昇することもあります。

株価は、単純化すれば次の式で考えられます。

株価=EPS×PER

企業の利益が増えれば、EPSは上昇します。

しかし、金利の上昇や市場心理の悪化によってPERが低下すれば、EPSが伸びていても株価は下落します。

NVIDIAの決算前に追加投資を見送ったときも、私はNVIDIAの成長を疑っていたわけではありません。

決算が良い可能性は高いと考えていました。

☞第24話 AI半導体株を分析して買っても、熱狂を避けられなかった|株価より利益成長を見る

☞第25話 NVIDIA決算前に追加投資を見送った理由|何も買わないという投資判断

それでも、良い決算がすでに株価へ織り込まれている可能性と、決算後に期待が剝がれるリスクを考え、何も買わないことを選びました。

良い企業であること。

その株を今買うこと。

どの価格で買うこと。

この三つは、分けて考える必要があります。

読者が確認すること

私が期待している成長は、すでに現在の株価に織り込まれていませんか。

企業の将来性だけでなく、その期待に対して今の株価が高いのか、安いのかを確認します。

ルール5 何を買うか、いつ買うか、どれだけ買うかを分ける

以前の私は、良いと思った投資対象を見つけると、「買うか、買わないか」の二択で考えていました。

しかし、実際の投資には、少なくとも三つの判断があります。

何を買うのか。
いつ買うのか。
どれだけ買うのか。

何を買うかは、企業や事業の分析です。

いつ買うかは、株価、決算、市場環境、需給の判断です。

どれだけ買うかは、外れたときにどの程度の損失を受け入れられるかというリスク管理です。

この三つを一つにしてしまうと、「良い企業だから、今、大きく買う」という判断になりやすくなります。

しかし、良い企業でも買う時期が悪いことはあります。

買う方向が正しくても、数量が大きすぎれば、少しの下落で冷静さを失います。

Credoが大きく下落したとき、私は169.5ドルで30株を追加しました。

成長仮説を維持しながらも、一度に大きく買うのではなく、数量を限定しました。

投資判断の精度を完全に上げることはできません。

だからこそ、外れたときにも次の判断ができる数量に抑える必要があります。

読者が確認すること

この投資が間違っていた場合、この数量でも冷静に判断を続けられますか。

価格だけでなく、保有数量が自分の感情に与える影響も考えます。

ルール6 買う前に、売る条件を決める

株を買うときには、多くの理由を考えます。

市場が成長する。

業績が伸びる。

新製品が普及する。

競争優位性がある。

ところが、売るときになると、

十分に上がったから。

高値から下がったから。

決算が近くて不安だから。

という感情的な理由が入りやすくなります。

私自身、ARM株を保有し続けるか考えたとき、「上がったら売る」「下がったら売る」だけでは判断できないことに気づきました。

☞第26話 ARM株はいつ売るべきか|成長仮説で決める4段階の売却条件

そこで、売却条件を次のような段階に分けました。

  • 成長率の鈍化
  • 利益構造や競争環境の変化
  • 自分が描いた成長仮説の崩れ
  • ポートフォリオ全体への影響

株価の上昇や下落は、売却を考えるきっかけにはなります。

しかし、本当に確認すべきなのは、買った理由がまだ残っているかどうかです。

読者が確認すること

どの事実が起きたら、自分の投資仮説が間違っていたと認めますか。

買う理由だけでなく、保有を続けられなくなる条件を事前に書いておきます。

☞第25話 NVIDIA決算前に追加投資を見送った理由|何も買わないという投資判断

ルール7 熱狂を避けるのではなく、管理する

私は、過去に何度も熱狂の中で投資してきました。

FX、仮想通貨、ICO、海外事業、AI関連株。

対象は違っても、価格が上がり、成功した人の話が増え、「今参加しなければ遅れる」と感じる点は共通しています。

しかし、熱狂している市場に投資すること自体が間違いなのではありません。

本当に大きく成長する技術や企業も、最初は熱狂の中にあります。

問題は、熱狂の中で考えることをやめてしまうことです。

私はこれを「熱狂管理」と呼ぶようになりました。

☞第15話 成長株の熱狂をどう管理するか|PERからHypeを見る(後編)

☞第16話 熱狂管理(Hype Management)― 本物の成長企業と、行き過ぎた株価をどう見分けるのか

熱狂管理とは、相場から逃げることではありません。

  • 期待と実績を分ける
  • 企業の利益と株価の上昇を分ける
  • 一度に大きく買わない
  • 決算前後のシナリオを記録する
  • 結果を見てから理由を書き換えない

という方法で、自分も熱狂の内側にいることを認めながら投資することです。

NVIDIAの決算前に何も買わなかった判断も、その一つでした。

決算後に株価が上がれば、買わなかったことを後悔します。

下がれば、自分の判断が正しかったと思いたくなります。

しかし、翌日の株価だけで判断の良し悪しを決めると、次の投資に再現できません。

重要なのは、結果ではなく、事前のシナリオに基づいて行動できたかどうかです。

読者が確認すること

株価が逆方向に動いても、今と同じ判断理由を説明できますか。

できなければ、企業を分析しているつもりでも、実際には株価に理由を合わせている可能性があります。


七つのルールを、一枚にまとめます

投資ルール投資前に確認する質問
理解できないものには投資しない利益が生まれる仕組みを自分の言葉で説明できますか
誰が利益を得る構造なのかを見る自分の利益は、誰が生み出し、誰が支払いますか
次に不足するものを探す市場が成長したとき、最初に足りなくなるものは何ですか
良い企業と今買うべき株を分ける期待する成長は、すでに株価に織り込まれていませんか
何を・いつ・どれだけ買うかを分ける間違っていても冷静でいられる数量ですか
買う前に売る条件を決めるどの事実が起きたら、投資仮説の誤りを認めますか
熱狂を管理する株価が逆に動いても、同じ判断理由を説明できますか

七つすべてに答えられたからといって、投資が成功するとは限りません。

株価には、予測できない出来事が何度も起こります。

それでも、少なくとも「なぜ買ったのか分からない」「なぜ売れないのか分からない」という状態は減らせます。

投資で失敗しない方法ではなく、失敗したときに何を検証すればよいかを残すためのルールです。

それでも、人は自分で決めたルールを破ります

ここまで、失敗を振り返り、投資判断を七つのルールに整理してきました。

しかし、ルールを決めれば、そのとおりに行動できるとは限りません。

株価が急騰すれば、決めていた価格より高くても買いたくなります。

急落すれば、売る条件に達していなくても逃げたくなります。

含み益が増えれば、もっと上がると思います。

含み損が増えれば、いつか戻ると思いたくなります。

理解できるものに投資していても、最後に注文を出すのは感情を持った人間です。

では、あらかじめ決めたルールを機械に実行させたら、投資判断は改善するのでしょうか。

私は次に、株価データを取得し、売買条件を設定し、過去のデータと疑似売買で検証してみたいと思います。

そのうえで、

  • 自分の裁量による判断
  • ルールだけによる判断
  • AIを加えた判断

の違いを比べてみたいと思います。

おわりに――投資対象が変わっても、問いは変わりません

これまでの記事では、FX、仮想通貨、投資案件、投資信託、半導体株、AI関連株について書いてきました。

これからは、まだ十分に書いていないビットコインや不動産投資、その他の投資案件についても振り返りたいと思っています。

投資対象は変わります。

しかし、私が確認したいことは変わりません。

何が価値を生み、誰が利益を得て、どこにリスクがあるのでしょうか。

この問いを自分で考えることをやめたとき、私は大きな失敗をしました。

反対に、自分が理解できる構造に戻り、仮説が外れたときの条件まで考えるようになってから、投資判断は少しずつ変わりました。

七つのルールは、完成した投資理論ではありません。

今の私が、同じ失敗を繰り返さないために使っている確認事項です。

そして次は、このルールを人間よりも機械の方が守れるのか、実際に試してみます。

☞第27話 何も買わなかった判断は正しかったのか|NVIDIA決算後の答え合わせ

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この記事を書いた人

長年、半導体分野の技術開発に携わった経験を持つ会社員投資家です。昼は会社員、夜と週末は投資の成功と失敗を振り返りながら、半導体・AI企業の成長構造や売買判断について書いています。

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