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第13話 マイクロン株をPERで見続けていた|半導体サイクルという仮説(前編)

目次

私はなぜMUばかり見ていたのか

2026年3月から5月にかけて、私はマイクロン(MU)のチャートや業績情報を、ほぼ毎日のようにチェックして、ChatGPTで分析していました。

日足チャート。

PER。

EPS。

SOX指数。

そして売却戦略。

今振り返ると、昼間は会社員をしながらだったので、使える時間は朝晩だけ。我ながら良くやっていたと思います。

「なぜ、そこまでマイクロンばかり見ていたのですか?」

そう聞かれることがあります。

もちろん、6年間保有してきた愛着もあります。

しかし、本当の理由は別にありました。

私は、マイクロンというメモリー銘柄を通して、半導体サイクルそのものを見ていたのです。【半導体サイクルとは何か】

私は半導体サイクルのピークを探していた

2026年3月ごろ、私は次の半導体サイクルのピークは、2026年夏から2027年初めごろに訪れるのではないかと考えていました。

半導体業界は、景気と需給によって大きなサイクルを繰り返します。

好況になると設備投資が増え、誰もが強気になります。

そして数年後、供給過剰になり、価格が崩れ、業績が悪化する。

私は大学の研究室の時代から社会人エンジニアとして、約20年間半導体業界に身を置いていました。

その中で何度も見てきたのが、このサイクルです。

だからこそ、今回もどこかでピークが来るはずだと考えていました。

問題は、

「それがいつなのか。」

そして、

「どの銘柄が最初にそのサインを見せるのか。」

でした。【ウクライナ侵攻と利上げ。私はなぜエヌビディアとマイクロンを売ったのか】

私は自分の半導体銘柄のポートフォリオを何度も見直しました。

マイクロン(MU)。

エヌビディア(NVIDIA)。

AMD。

ARM。

ダイダン。

SUMCO。

その中で、最も注目していたのがマイクロンでした。

なぜMUなのか

理由は単純です。

メモリー銘柄は、半導体バリューチェーンの中でも最もボラティリティが高く、サイクルを株価に反映しやすいからです。

DRAM価格が上がれば利益は急増する。

逆に、価格が下がれば利益は急減する。

ロジック半導体や装置メーカーよりも、景気や需給の変化がストレートに現れます。

つまり、メモリー銘柄は半導体業界の「温度計」です。

熱くなり始めると、真っ先に温度が上がる。

冷え始めると、真っ先に温度が下がる。

もしMUが崩れ始めたら、それは単なる1社の問題ではなく、半導体サイクル全体が連鎖的に崩れてゆく転換点かもしれない。

私はそう考えていました。

だから、MUを見ていたのです。

2026年3月5日。私はMUの分析をした

2026年3月5日のMUの株価は403.60ドル。予想EPSは33.76ドル。

Forward PERは約12倍でした。

ちょうどその頃、アメリカによるイラン攻撃のニュースが流れ、世界的に株価が低迷していました。

私は、その影響についてChatGPTへ尋ねました。

すると、次のような分析が返ってきました。

「今回の下げは、ほぼ完全に地政学リスクです。」

「MUの事業に直接影響はほぼありません。」

「現在位置は7~8合目。」

「EPS33ドル、PER18倍なら約594ドル。」

「600ドル付近はかなり危険ゾーン。」

今振り返ると、かなり慎重なシナリオです。

700ドルは超強気シナリオ。

800ドルは、いわば夢枠。

そして、ChatGPTからは売却戦略として、

「400ドルで25%売却。」

「450ドルでさらに25%売却。」

という提案も受けました。

当時の私は、その分析にかなり納得していました。

なぜなら、メモリー株は歴史的に、利益ピークが見え始める頃にはPERが低下し始めることが多いからです。

市場は、ピーク利益が長く続かないことを知っている。

だから、利益が最も高い時に株価が最も高いとは限らない。

むしろ1、2年先を見越して株価は動く。

これは、メモリー株投資の難しいところです。

私は、この

「600ドル付近が危険ゾーン。」

という仮説を、かなり有力だと思っていました。【マイクロン株は1000ドルを超えるのか|1500ドルシナリオを考えた理由】

しかし、違和感もありました

一方で、私は違和感も覚えていました。

なぜなら、今回のAIブームは、これまでの半導体サイクルと少し違って見えたからです。

HBM需要。

データセンター投資。

生成AI。

推論AI。

これらは、単なる景気循環だけでは説明できない構造変化にも見えました。

しかし、その時点では、まだ自分の考えに自信を持てませんでした。

だからこそ、私は毎日のようにチャートを見ながら仮説を検証し、ChatGPTに相談していました。

4月17日。景色が変わり始めた

それから1か月余り。

私がMUの業績予想を確認すると、驚くべき数字が並んでいました。

2026年予想EPSは56.47ドル。

さらに、2027年予想EPSは100ドル超え。

「さすがにこれは。」私は驚きました。

1か月前には33ドルだった予想EPS。それが、56ドルまで跳ね上がっていたのですから。

「しかも翌年には100ドル?」

半導体業界に長くいた私でも、簡単には信じられない数字でした。

しかし、ChatGPTの分析は、むしろさらに慎重になっていました。

「完全にピーク利益圏。」

「最高業績 × 株価伸びない。」

「出口戦略フェーズ突入の典型。」

「現在位置は9合目。」

さらに、

「450ドル付近で20~30%売却。」

「500ドル、550ドル、600ドルで段階的に利確。」

という戦略も提示されました。

業績予想は大きく上がった。

それなのに、判断はさらに慎重になる。

私は、この分析に違和感を覚えながらも、同時に納得もしていました。

なぜなら、メモリー株では、

「最高益が見え始めた時こそ、最も危険な時」

であることが少なくないからです。

私は過去の半導体サイクルで何度もそれを見てきました。

私たちの仮説は何度も覆された

3月。

600ドル付近は危険ゾーン。

4月。

9合目。

どちらも、これまでの半導体サイクルを前提にすれば、十分に合理的な仮説でした。

しかし、私は少しずつ思い始めていました。

「今回は、いつものメモリーサイクルと考えて良いのだろうか。」

HBM需要。

AI向けデータセンター投資。

推論AIの拡大。

市場が見ている未来は、私がこれまで見てきた半導体サイクルとは、少し違うものなのかもしれない。

もちろん、その時点では答えはありませんでした。

だから私は、毎日のようにチャートを見ていました。

PER。

EPS。

SOX指数。

EVA分析。

そして市場心理。

私は、MUの株価を予想していたのではありません。

マイクロンというメモリー銘柄を通して、半導体サイクルの温度を測ろうとしていたのです。

しかし、5月に入ると、私たちの仮説は、さらに大きく揺さぶられることになります。

MUは、私が思っていた以上のスピードで上昇を始めます。

そして、ChatGPTから返ってきた言葉も、少しずつ変わり始めていきました。

「AI狂乱相場モード」

という、今まで聞いたことのない言葉とともに。

【第14話 AI相場でPERが通用しなくなった|崩れ始めた投資仮説(中編) AI狂乱相場モード】

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この記事を書いた人

長年、半導体分野の技術開発に携わった経験を持つ会社員投資家です。昼は会社員、夜と週末は投資の成功と失敗を振り返りながら、半導体・AI企業の成長構造や売買判断について書いています。

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